辨 |
ヒヨス属 Hyoscyamus(天仙子 tiānxiānzĭ 屬)には、北アフリカ・歐亞温帯に約17-32種がある。
H. bohemicus(小天仙子) 『中国本草図録』Ⅴ/2303・『中国雑草原色図鑑』194
ヒヨス H. niger(H.bohemicus;天仙子・莨菪)『中草藥現代研究』Ⅱp.542
『雲南の植物Ⅰ』242・『中国本草図録』Ⅴ/2303・『中国雑草原色図鑑』194・195
H. pusillus(中亞天仙子) 歐洲ロシア・西&中央アジア・モンゴル・チベット産 『中国本草図録』Ⅷ/3794
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ナス科 Solanaceae(茄 qié 科)については、ナス科を見よ。 |
訓 |
和名は、属名の Hyoscyamus から。菲沃斯は当て字。 |
漢名莨菪(ロウトウ,làngdàng)は、「其の子(み,たね) 之を服すれば、人をして狂浪放宕せしむ、故に名づく」と(李時珍『本草綱目』)。 |
深江輔仁『本草和名』(ca.918)莨蓎 及び源順『倭名類聚抄』(ca.934)莨蓎子に、「和名於保美留久佐」と。 |
説 |
漢土の華北・西北・西南から、広く歐亞温帯・北アフリカに分布。
全草にアルカロイドのヒヨスチアミン hyoscyamine(莨菪礆)を含み、有毒。 |
誌 |
乾燥した葉をヒヨスと呼び、葉から採るヒヨスエキスとともに薬用にする。種子も薬用原料。『中薬志Ⅱ』pp.43-46
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日本で、ロートコン(莨菪根)と呼び、鎮痛薬・目薬として用いるものは、ハシリドコロ Scopolia japonica。 |
光同期性や春化処理など、開花生理の実験材料。 |
ヨーロッパでは、ギリシア時代から その幻覚作用・睡眠作用・鎮静作用などを利用した。
中世では、魔女が用いる悪魔の草。 |